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リサーチ | 日本

TOEICの平均点は616点。それでも日本の英語力が世界96位である理由

TOEICの平均点を調べる人の多くは、自分の点数が「普通」かどうかを知りたい。 この記事はその答えから始めて、もう一歩先まで行く。同じ日本人の英語力を、 TOEICの公式データ、英検の受験者数、文部科学省の全国調査、 そしてEFの世界ランキングという4つの一次資料で並べると、 「読めるのに話せない」という実感が、そのまま数字の形になって現れる。

SpeakBase リサーチ | 2026年9月3日 | 読了目安:7分
616点TOEIC L&R 公開テスト平均(2025年度)
96位EF EPI 2025、123カ国・地域中
62:1TOEIC L&R受験者とSpeakingテスト受験者の比

TOEICの平均点は何点?(2025年度の公式データ)

IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が公開した「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」によると、2025年度のTOEIC Listening & Reading公開テストの平均スコアは616点 (リスニング337点、リーディング279点)で、受験者数は755,473人だった。 平均はこの3年間で少しずつ上がっている(2023年度612点、2024年度615点、2025年度616点)。

平均は誰が受けたかで変わる。同じ公開テストでも、社会人(308,493人)の平均は649点、 学生(434,399人)の平均は592点と、57点の差がある。企業や学校が団体で実施するIPテストは 受験者1,056,506人で平均492点。内訳は企業・団体が538点、学校が462点だ。 つまり「TOEICの平均点」と一口に言っても、462点から649点まで幅がある。 自分の点数を比べるなら、自分と同じ受け方をした集団の数字と比べるのが正しい。

TOEIC L&R 平均スコア、受験区分別(2025年度)

IIBC「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026」 | 満点990点
公開テスト 全体616公開テスト 社会人649公開テスト 学生592IPテスト 企業・団体538IPテスト 学校462
受験者数:公開テスト全体755,473人、社会人308,493人、学生434,399人、IPテスト企業・団体424,158人、IPテスト学校632,348人。

分布も見ておく価値がある。2025年度の公開テストでは、795点以上を取った受験者は122,641人で全体の16.2%、 595点以上は55.7%だった。逆に言えば、公開テスト受験者の約44%は595点未満にいる。 履歴書で「TOEIC 800点」が一つの目安として扱われるのは、それが受験者の上位およそ6分の1に入る水準だからだ。

日本の英語力は世界で何位?(EF EPI 2025)

EF EPI 2025(EF英語能力指数)で、日本のスコアは446点、123カ国・地域中96位だった。 前回から8点下がり、世界平均の488点を42点下回っている。この指数は世界で220万人の成人が受けた EFの無料テストの結果から算出されるもので、5段階のバンドのうち日本は最も低い「非常に低い」(450点未満)に入る。前回の454点から4点分、境界をまたいで落ちた形だ。

アジアの隣国と並べると差がはっきりする。韓国は522点で48位、日本より76点高い。 1位のオランダは624点だ。国内では関東が478点で最も高く、中国地方が436点で最も低い。 都市別では川崎(489点)、横浜(483点)、東京(480点)が上位に来るが、 日本で一番英語ができる都市でも、世界平均には届いていない。

EF EPI 2025 スコア比較

EF EPI 2025 | 123カ国・地域 | スコアが高いほど英語力が高い
オランダ(1位)624韓国(48位)522世界平均488日本(96位)446

なぜ「読めるのに話せない」のか:技能別スコア

EF EPI 2025の日本の技能別スコアは、リーディング454点、リスニング437点、ライティング394点、 スピーキング393点で、リーディングとスピーキングの差は61点ある。 理解する側の2技能(読む・聞く)と、産出する側の2技能(書く・話す)の間に、 はっきりした段差がある形だ。

日本の技能別スコア

EF EPI 2025
リーディング454リスニング437ライティング394スピーキング393
リーディング454点に対してスピーキング393点。入ってくる英語は処理できるが、出ていく英語が細い。

この段差は、日本が何を測ってきたかを見るとよく分かる。2025年度、TOEIC L&R公開テストの受験者は755,473人だったのに対し、 TOEIC Speaking公開テストの受験者は12,207人だった。比率にして約62対1、 L&R受験者の1.6%しか、話す力を公式に測っていない。 なお、そのSpeakingテストの平均スコアは131.5点(200点満点)である。

日本人は英語を測るとき、聞く力と読む力を62回測るあいだに、話す力を1回しか測っていない。 測られない技能は、伸びない。

学校の英語教育はどこまで来たか(文部科学省 令和7年度調査)

文部科学省の令和7年度「英語教育実施状況調査」(2026年6月18日公表)によると、 CEFR A1レベル(英検3級相当)以上の英語力を持つ中学3年生の割合は54.6%、 CEFR A2レベル(英検準2級相当)以上の高校3年生は52.4%で、いずれも調査開始以来の最高値だった。 平成25年度はそれぞれ32.2%と31.0%だったので、12年で20ポイント以上上がったことになる。

ただし、国の目標にはまだ届いていない。第4期教育振興基本計画(令和5年度から9年度)は、 中学卒業時にA1以上、高校卒業時にA2以上の生徒を6割以上、高校卒業時にB1(英検2級相当)以上を3割以上と定めているが、 B1以上の高校3年生は23.9%にとどまる。 教える側も変わりつつあり、CEFR B2(英検準1級相当)以上を取得している英語教師は中学校で58.5%、高校で84.4%だ。 この調査だけを詳しく読んだものは 令和7年度「英語教育実施状況調査」の解説にある。

国の目標と現状(公立中学・高校)

文部科学省 令和7年度「英語教育実施状況調査」 | 目標は第4期教育振興基本計画(令和9年度まで)
指標平成25年度令和7年度目標
中学3年生 CEFR A1(英検3級相当)以上32.2%54.6%60%
高校3年生 CEFR A2(英検準2級相当)以上31.0%52.4%60%
高校3年生 CEFR B1(英検2級相当)以上(調査なし)23.9%30%

同じ調査には、話す練習の量を示す数字もある。英語担当教師が発話の半分以上を英語で行っている 高等学校の学科は36.9%、ALT等が英語の授業の半分以上に参画している学科は12.2%。 そしてオンラインでの英会話を「全く行わせていない」高等学校は73.8%(中学校は74.5%)だ。 中学・高校で6年間英語を学んでも、実際に口を動かす時間は思ったより少ない。

英検は年間何人が受けているか

日本英語検定協会の「統合報告書 2025」によると、2024年度の英検テストファミリー(実用英語技能検定、英検IBA、英検Jr.)の志願者数は449万人で、 主要な国際英語試験と比べても上位の規模だ。小学生の受験者だけでも2024年度は375,991人で、この10年で約1.5倍に増えた。

英検の受験者がこれだけ多い理由の一つは、前の節で見た国の目標が英検の級で定義されていることにある。 中学卒業時に3級、高校卒業時に準2級という目安が学校現場に浸透し、英検が事実上の学習指標になった。 ここでも構図は同じで、日本は英語力を「測る」ことにかけては世界有数の熱心さを持ち、 ただしその大半は、話すことではなく、読むことと聞くことを測っている。

数字から分かること、そして自分の英語をどうするか

4つの資料を並べると、矛盾して見えた事実が一本につながる。TOEICの平均点は毎年少しずつ上がり(616点)、 中高生の英語力も過去最高(54.6%と52.4%)で、英検の受験者は449万人。それでもEF EPIでは96位で、 スピーキングは393点。上がっているのは測っている技能で、下がっているのは測っていない技能だ。

個人の学習に置き換えれば、結論はシンプルになる。TOEIC L&Rの点数が伸びているなら、 理解する力はすでにある。足りないのは、その英語を声に出す回数だ。 単語や文法を知っているのに口から出てこないという人は、知識の問題ではなく、 産出の練習量の問題であることがほとんどで、それは数字が示す日本全体の形とぴったり重なる。 まず手を付けやすいのは、自分が正しいと思って使っているカタカナ英語を点検することだ。ネイティブに通じない和製英語の一覧は、読めても話せない典型例が集まった場所でもある。

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出典と方法: TOEICの平均スコア、受験者数、スコア分布、TOEIC S&Wの受験者数と平均は、IIBC(一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)の TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026(2025年度=2025年4月から2026年3月の実受験者データ、2026年公開)による。年度別の受験者数は同協会の 公式データ・資料ページでも確認できる。795点以上16.2%、595点以上55.7%は、同資料の公開テスト総合スコア分布(50点刻み)を本記事で合計した値。 世界ランキング、技能別スコア、地域・都市別スコアは EF EPI 2025 日本ページ(2025年公開、123カ国・地域、受験者220万人)および 同 韓国ページによる。EF EPIの受験者は自分で受験を選んだ人であり、人口を代表する標本ではないため、 絶対的な国民の英語力ではなく国際比較の傾向として読むべきである。中高生と教師の英語力、授業内の言語活動の割合は、文部科学省の 令和7年度「英語教育実施状況調査」(調査実施基準日2026年2月1日、2026年6月18日公表)による。 なお同調査の「A1レベル相当以上」には、外部試験の級を取得した生徒に加え、教師が相当する英語力があると判断した生徒が含まれる。 英検の志願者数449万人は日本英語検定協会の 統合報告書2025 コラム第1弾(2025年7月4日)、小学生の受験者375,991人は 同 コラム第7弾(2025年8月15日)による。データとグラフは、出典として「SpeakBase リサーチ」と本ページへのリンクを明記すれば自由に利用できる。
TOEIC 平均点日本人の英語力EF EPI 2025英検 受験者数